建設業界の話

建築と土木の業界を比較

建設業界とひとくくりで語られることが多いですが、その中では建築、土木、設備、電気などの細かな分野に分かれています。 

15年近く業界を渡ってきた私が、経験した建築と土木の世界を比較してみたいと思います。

この記事を書いた背景

私は大学の建設工学科を卒業しているのですが、通っていた学校では一年生では建築・土木両方の視点から概要を学び、二年生からコースが分かれるというシステムでした。

入学のきっかけは今でも放送されているリフォーム番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」を見て建築の世界に憧れた、というよくあるパターンです。
しかし土木の世界も学んでいくにつれ、社会インフラを作る仕事も魅力的だと知ったのでした。
建築コースが人気で定員オーバーだったこともあり、私は結局土木コースに進むことになったのです。

その後社会人となりCADオペレーターとして、どちらの仕事も経験することができました。
双方の良いところも悪いところも知る立場として、これから仕事に就く方の参考になる事があればと思い執筆しました。

建築業界の一長一短

デザインやコーディネートの楽しさがある

住宅や施設の設計は、法令に基づくことが基本ではありますが造形や色彩は設計する人のセンスを活かせるものだと思います。

私はCAD操作以外にも内装や照明のコーディネートを担当していました。
施主やメーカーと打ち合わせをしながら理想の空間を作り上げていくのは、創造性がありわくわくする作業でした。

顧客の顔が見える

私は住宅メーカーにいたため展示イベントへの来場や打ち合わせでの来社など、お客さまと顔を合わせる機会が多かったです。

計画から設計、施工と家が建てられる経緯をお客さまの間近でみることができ無事引き渡しができたときは、達成感がありました。
家を建てるという、人生のなかでも大きなライフイベントに立ち会え心に残る仕事でした。

住宅販売の営業はハード

CADオペ兼営業事務であったため、営業社員ではなくとも住宅販売の大変さは肌で感じておりました。

販売目標という名のノルマも存在しており、売上げは全国の支店を総合しランキング付けされていました。
営業会議に出席していましたが、上から厳しい言葉を受けるたびに心が傷んだものです。

事務員や総務の社員もリフォームの案内を知人にするよう指示を受け、一生に何度あるか分からない買い物の顧客を得ることの難しさを知りました。

緻密な作業が多い

建築設計は守らなければならない法律がとても多いです。
また部材や色彩の設定も細かな指定が必要で、頭を使います。

ひとつひとつ決めていく作業が苦にならない人に向いているかなと思います。

土木業界の一長一短

設計基準がしっかりできている

公共事業は設計要領や標準図が地方ごとに定められており、誰でもホームページから閲覧することができます。
専門書を持たない未経験者でも勉強がしやすいと思います。

メーカーごとの形状の差などもあまりないので、多くの選択肢の中から迷うということが少ないです。
反面、土木の世界はオリジナリティを出すのは難しいと言えます。

皆の生活の基盤を作ることができる

橋やダムなど大きな構造物はもちろん、日常的に使っている道路や公園などを作るのも土木業界の仕事です。
また山間部や河川等で見かける防災施設を作るのも重要な役割です。
人々の暮らしを支え、安全を守るための仕事に携われることにやりがいを感じます。

利用者ひとりひとりと話すことはできませんが、自分が関わった仕事で皆の役にたてるのが醍醐味です。

公務員体質でおだやかな人が多い

これは私見ですが、建築業界にいたころは常に売上成績を気にしなければならず社内の空気もギスギスしがちでした。
しかし皆で目標を達成しようという気概にはあふれていたと思います。

土木業界は良くも悪くもおだやかな人が多いです。
私の性格にはこちらの空気感があっているのか、土木関係の職場のほうが長く続くことが多かったです。

繁忙期は残業がきつい

年度末が繁忙期なのですが、この時期だけはどうしても私生活を犠牲にして残業を頑張らなくてはなりません。
これを踏ん張れるかどうかが仕事を続ける上での課題になります。

しかしゴールが見えているものなので、メリハリのある働き方ができるとも言えます。
役所関係の仕事はほぼカレンダー通りのスケジュールであり、繁忙期さえ乗り越えれば働きやすい環境です。
長期休暇のときには皆有給を足してしっかり心身を整えています。

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